公開日:2026年7月29日更新日:2026年8月30日
昇進の機会を提示したところ、部下から「今のままでいい」と断られて戸惑うマネージャーは少なくない。昇進を勧めるべきか、本人の意向を尊重すべきかで迷いが生じやすい。しかし昇進だけがキャリアの成長ではなく、本人の価値観に合わせた成長の道を一緒に探すことがマネージャーには求められる。
なぜこの業務から始めるべきか
昇進意向への対応を誤ると、部下の価値観を否定されたと感じさせ、仕事へのモチベーションを下げてしまうことがある。一方で、本人が本当は昇進を希望しているのに遠慮して断っているケースもあり、本心を確かめずに受け入れてしまうと本人のキャリア形成の機会を損なうことにもなりかねない。現場のマネージャーとしては、昇進以外の選択肢も含めて、部下ごとのキャリアの描き方を丁寧に確認する姿勢が重要だ。
具体的な手順
①昇進を断った部下に、具体的な理由を尋ねる。
②昇進以外で本人が成長を実感できる道を一緒に探す。
③昇進だけが会社からの評価軸ではないことを伝える。
④結論を急がず、定期的(例:半年ごと)に本人の意向を確認し直す。
⑤選択にかかわらず、チームにとって引き続き大切な存在であることを言葉で伝える。
つまずきやすい点
よくある失敗は、部下が昇進を断った理由を深く尋ねずに「やる気がないのだろう」と決めつけてしまうことだ。このような断定は部下との信頼関係を損ない、以降本心を相談してもらえなくなる可能性がある。筆者が関わった現場では、昇進を断った部下に対してマネージャーが「なぜそう思うのか」と丁寧に尋ねたところ、実は以前の職場で管理職の人間関係に苦労した経験が原因だったことが分かり、マネジメントスタイルについて具体的に話し合うことで少しずつ不安が和らいでいった例があった。
効果・まとめ
昇進はキャリアの選択肢の一つにすぎず、昇進を望まない選択も尊重されるべきものだ。部下の意向を決めつけずに丁寧に確かめ、本人に合った成長の道を一緒に探す姿勢が、長期的な信頼とチームのモチベーションにつながる。部下が昇進を断ったときは、まずその理由に丁寧に耳を傾けることから始めてみてほしい。
実体験:現場で困った場面とやってみたこと
自分が困った場面
「昇進を望まない部下とのキャリアの築き方」というテーマについて、最初からうまく対応できていたわけではありません。実際にこの場面に直面したとき、何をどう伝えればよいのか分からず、対応に迷った経験があります。頭では分かっていても、いざその場になると言葉が出てこないことがよくありました。
実際に使った言葉
「あの、もし可能であれば、なんですが…できる範囲でいいので、少し考えていただけたらと…」
今振り返ると、要点がぼやけてしまい、相手に何を求めているのかが伝わりにくい言い方だったと思います。
うまくいかなかった対応
遠慮がちな伝え方を続けた結果、意図が正しく伝わらず、対応が後回しにされたり、認識のズレがそのまま残ってしまったりすることがありました。かといって、はっきり言おうとすると今度は言葉がきつくなりすぎてしまい、相手との距離ができてしまうこともありました。曖昧に伝えることと、きつく伝えすぎること、どちらも関係を難しくする原因になっていました。
次に変えたこと
「相手への配慮を示す言葉」と「伝えたい内容」を分けて話すように意識を変えました。まず相手の立場や状況をねぎらう一言を添えたうえで、伝えたいことは要点を絞ってはっきり伝える。この順番を意識するだけで、相手の受け止め方が明らかに変わりました。
現場で使えるチェックリスト
- ☐ 相手への配慮を示す言葉を先に一言添えたか
- ☐ 伝えたい内容を曖昧にせず、具体的に伝えられているか
- ☐ 期限や優先度をはっきり伝えたか
- ☐ 一方的な指示・命令口調になっていないか
- ☐ 相手の立場や事情を尊重する姿勢を示せているか
- ☐ 伝えたあとに、相手の反応を確認できているか
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