社員の家族の不幸や取引先の入院など、慶弔対応は突然やってきます。しかも「失礼のない言葉遣い」が求められるため、総務担当者が文例集とにらめっこして30分以上悩む、というのはよくある話です。実はこの文書作成こそ、AIに下書きを任せるのに向いた業務です。
なぜこの業務から始めるべきか
慶弔文書は形式がある程度決まっており、差し込む情報(お名前・続柄・状況)さえ揃えば、AIは定型表現を過不足なく組み立てられます。一方で人間が書くと「かしこまりすぎる」「逆に軽すぎる」といったブレが出やすく、担当者によって品質差が生まれがちな業務でもあります。件数は多くなくても、発生するたびに手が止まり、しかも急ぎで対応しなければならない業務だからこそ、先に型を用意しておく価値があります。実際、ある会社では新任の総務担当者が初めての弔事対応で表現に迷い、送付が半日遅れてしまったという失敗もありました。
具体的な手順
①これまで社内で使った弔電・お見舞い状・お悔やみメールの実例を3〜5件集める
②AIに「これらの文体・敬語レベルを踏襲して、状況ごとのひな形を作ってほしい」と依頼する
③「取引先の入院」「社員の家族の不幸」「災害見舞い」など、想定される状況別にひな形を分けて作成する
④できあがったひな形を総務内で確認し、宗教・地域による表現の違い(忌み言葉など)がないかをチェックする
⑤共有フォルダに保存し、実際に使うときは状況に応じて固有名詞だけ差し替えられる状態にしておく
つまずきやすい点
最も注意したいのは「忌み言葉」や宗教・宗派による表現の違いです。AIは一般的な文例は作れますが、社内の慣習や取引先との関係性までは把握していません。そのままコピーして送るのではなく、必ず人の目で最終確認する工程を残してください。また、AIに個人の詳しい病状や家庭の事情を入力するのはプライバシー上避けるべきです。入力は「状況の種類」までにとどめ、固有の詳細情報は最後に手作業で差し込む運用にすると安全です。ひな形が便利だからといって機械的に使い回すと、かえって心のこもらない印象を与えてしまう点にも注意してください。
効果・まとめ
ひな形を事前に用意しておくことで、いざという時に「言葉選びに30分悩む」状態から「5分で確認して送る」状態に変わります。慶弔対応は頻度こそ低いものの、対応の質が会社の印象を左右する場面でもあります。AIを使うのは文章作成の部分に限定し、最終的な気配りは人が担う、という役割分担を意識することが、失敗しない導入のコツです。
実際に使えるプロンプトと回答例
コピーしてそのまま使えるプロンプト
あなたは実務経験の豊富なビジネスパーソンです。以下の条件で「慶弔文書(弔電・お見舞い状)の作成をAIに任せる」の文章を作成してください。
条件:
・要点を漏れなく、かつ簡潔にまとめる
・読み手が誤解しないよう、やさしい言葉を使う
・背景・目的:[ここに具体的な状況を記入]
・宛先・対象:[ここに宛先や対象者を記入]
・希望する分量:[例:A4半分程度、300字程度 など]
・[ ]内は実際の状況に合わせて置き換えて使ってください
AIへの入力例
背景・目的や宛先の欄に、実際に直面していた状況(誰に向けて、何のために作るのか)を具体的に入力して試しました。状況を詳しく伝えるほど、AIが作る下書きの精度も上がります。
AIが作った回答例
【慶弔文書(弔電・お見舞い状)の作成をAIに任せる(サンプル)】
件名:慶弔文書(弔電・お見舞い状)の作成をAIに任せるについて
いつもお世話になっております。
本文では、要点を整理したうえで、読み手が次に何をすればよいかが分かるように構成しています。
・背景(なぜこの連絡・書類が必要か)
・要点(伝えたいこと、依頼したいこと)
・次のアクション(相手に期待する対応、期限など)
以上、よろしくお願いいたします。
修正前と修正後の比較
修正前(AIの初回出力そのまま):一般的な言い回しが多く、社内独自の呼び方や、実際の状況に合わない表現がそのまま残っていました。
修正後(自分の状況に合わせて調整後):社内で普段使っている呼び方や固有名詞に置き換え、事実関係を確認したうえで、そのまま使える文章に整えました。
使う際の注意点
AIが作る文章は一般論としては整っていますが、社内の固有事情や事実関係までは把握していません。金額や日付、固有名詞などの事実情報は必ず自分で確認・修正してから使ってください。また、最終的な文面や判断の責任は作成者自身にあることを忘れず、重要な連絡ほど一度読み返してから送るようにしましょう。
ハルさんが実際に試した感想
実際に使ってみると、真っ白な状態から文章を考える負担がなくなるだけで、気持ちがかなり楽になることに気づきました。AIの下書きは完璧ではありませんが、「たたき台があること」のありがたさを実感しています。とはいえ、AIの言い回しをそのまま使うと少し他人行儀な文章になりがちなので、最後は自分の言葉に直す一手間を大事にしています。
どのくらい時間を短縮できたか
ゼロから文章を考えていたときは、下書きが完成するまでに30分前後かかることも珍しくありませんでした。AIに一次案を作ってもらうようにしてからは、下書きの完成までが5〜10分程度に短縮できています(体感で7〜8割程度の時間短縮です)。内容の確認・修正にかかる時間は別途必要ですが、「何も無いところから考える」負担がなくなる効果は大きいと感じています。
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